コミュニケーション・コンプライアンス考察「アンガーマネジメント」
アンガーマネジメント
人は誰しも承認欲求があります。認められたい、ほめられたいという欲求です。これが満たされると心のエネルギーが高まります。結果を認められる(ほめられる)と嬉しいのですが、結果が上手くいかなくてもそのプロセスを認めてもらえる(ほめてもらえる)と嬉しいものです。さらに嬉しいのは自分の存在を認められる(ほめられる)ことです。
「怒り」の感情は、時として人格否定、存在否定につながる言葉を相手に与えてしまう可能性があります。存在を認められると人は一番嬉しいのですが、その存在を否定されるわけですから、そうした言葉を受けた相手はどのような気持ちになるでしょうか。パワハラが問題となり、訴訟などに発展していくのはこうした背景があるのです。
喜怒哀楽というように人は誰しも怒りを覚えることがあります。しかし、ハラスメントという視点からは、この怒りという感情をマネジメント(アンガーマネジメント)していくことが求められています。
怒りのピークは6秒と言われます。このピーク時をどうコントロールするのか。有効な方法は「深呼吸」です。息をゆっくり吐きだすことがポイントです。ゆっくりと吐き出すことでリラックスにつながる自律神経の副交感神経が優位になります。カッとなっても、一息つくことが大切です。
そうして少し落ち着いたところで、相手にこちらが望んでいることを伝えます。これが「叱る」ということです。然るべきビジョンをしっかりと伝えることです。「怒る」は感情のままに表現してしまうことであり、「叱る」は相手の成長を想い、相手に期待を伝えることです。
叱られるのが嫌だという方もいらっしゃるでしょう。しかし、叱られるのはあなたに関心があるからです。あなたに期待し、あなたの成長を願うからなのです。期待に応えようとすることは成長につながります。このように受けとめることは、叱られる側のアンガーマネジメントでもあるのです。
from 連載執筆コミュニケーション・コンプライアンス考察
(隔月機関誌ネットワークひょうご 7月号より)
(隔月機関誌ネットワークひょうご 7月号より)
執筆・鎌田敏(びん)